基本的な臨床の立場

 私は、京都大学の大学院(教育学研究科)の修士・博士後期課程を修了しています。そこでは、ユング心理学や精神分析を専門とする心理臨床の先生方がおられました。私のいた当時では、河合隼雄先生、山中康裕先生、齋藤久美子先生、その後、三好暁光先生、岡田康伸先生がおられました。

 京大の学風は、心理療法の基本的な枠組みは厳しく指導されますが、それ以外の、ユング心理学なり精神分析なり、それ以外の学派であっても、自分の方向性には口を挟まれません。かえって、その方がむずかしいのですが、要は自分でフィットする理論を見つけていくように指導されます。というか、指導がありません。

 それで、私自身はというと、「共感」をずっと研究のテーマにしてきたこともあって、精神力動と治療関係に焦点が当たっていきました。現在では、コフートに始まる精神分析的な自己心理学に関心を持っています。また、箱庭や夢といったイメージに関するアプローチにも関心があります。こちらの方は、ユング心理学的な観点から得られるものが大きいです。