これまでに複数の少年院で篤志面接という一種のボランティアの形で、収容されている少年のカウンセリングを行ってきました。月に1回という頻度ですから、通常のカウンセリングに比べてずいぶんと少ないわけですが、それでも治療関係が成立し、少年の抱えてきた心のテーマについて、一緒に考えて深めていける場合があります。
少年院というのは、巷でイメージされるような「刑務所」ではなく「更正のための収容機関」です。ですから、中では教育活動や仕事に役立つ技能の修得なども行われています。
何よりも重要なのは、少年院の教官の方と少年の間で、密接な関係を作れる可能性があることです。殆ど毎日を共に過ごすことになるわけですから、しっかりした絆がそこで醸成された場合は、少年にとって、とても大きな成長の機会になります。これまでに得られなかったような、対人関係をそこで体験できることになります。
しかし、そういう関係を築かないまま、素通りしてしまう少年がいるのも現実です。個別のカウンセリングが、少しでもそれを補うことになれれば意味があるのではないかと思います。
また、非行臨床に関わる、少年鑑別所の技官や、家庭裁判所の調査官、児童相談所の判定員やケースワーカー、保護観察官といった方たちとの研究会に参加してきました。こうした場は、相互の仕事がどういうことなのか、また、相互にどう連携をとることが、少年に役立つかを考える上で、とても有意義なものだと思います。